家族信託(2) 信託組成時に贈与税が課税される

 信託財産から生じる収益は、最終的に、信託契約で定められる受益者に帰属します。
この受益者を委託者(財産のもとの所有者)と別人にすると、その受益権の設定が贈与とみなされて贈与税が課税されます(相続税法9条の2)

 

 例えば、貸家が信託財産の場合。貸家の名義は受託者になり、賃借人は賃料を受託者に支払います。この賃料は信託契約に従って受益者に給付されますが、委託者と受益者が異なると贈与税が課税されるのです。

これを避けるためには、委託者と受益者を同一にします。

 

第9条の2 (贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利)
 信託の効力が生じた場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の受益者等となる者があるときは、当該信託の効力が生じた時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の委託者から贈与(当該委託者の死亡に基因して当該信託の効力が生じた場合には、遺贈) により取得したものとみなす。