家族信託(3)土地を信託すると「不動産取得税」がかかるの?

 通常、相続で土地を取得しても不動産取得税は課税されません(地法73条の7第1号)。

    ◇家族信託の場合はどうなのでしょう?

たとえば

土地を持っている父親が委託者、妻が受託者で
「父死亡時に財産は子供に帰属する」という信託を組成した場合

1.まず、信託開始時に父から母に土地の所有権が移転しますが、不動産取得税は非課税です(地方税法第73条の7第3号)
2.しかし、信託終了(父の死亡)に伴い、母から子供に土地の所有権移転が生じる場合は、「一定の要件」を満たさないと非課税にはなりません地方税法第73条の7第4号)
☆彡不動産取得税が非課税となる要件は次の①②です。
①信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である
②信託終了により土地を取得する者が、信託の効力が生じた時における委託者の相続人である


第73条の7 (形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税)
道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
◆1 相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。) による不動産の取得
◆3 委託者から受託者に信託財産を移す場合における不動産の取得(当該信託財産の移転が第73条の2第2項本文の規定に該当する場合における不動産の取得を除く。)
◆4 信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託により受託者から当該受益者(次のいずれかに該当する者に限る。) に信託財産を移す場合における不動産の取得
 イ 当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者である者
 ロ 当該信託の効力が生じた時における委託者から第1号に規定する相続をした者
 ハ 当該信託の効力が生じた時における委託者が合併により消滅した場合における当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人
 ニ 当該信託の効力が生じた時における委託者が第2号に規定する政令で定める分割をした場合における当該分割により設立された法人又は当該分割により事業を承継した法人